宝塚歌劇団の「王家に捧ぐ歌」は、音響、照明ともに素晴らしい舞台でした。内容は、エジプトの王ラダメスとエチオピアの王女アイーダの悲恋の話。宝塚といえば、トップスターと、トップ娘役に重きをおいて、脇役は、あまり活躍しないのが定番の舞台である。でも、やはり面白い舞台というのは、主役、脇役、それぞれに見せ場があることにより、舞台の重厚感が増すものである。まず、特筆すべきは、音響である。通常、宝塚では、大事な歌を任されるのは、トップスターが多いのだが、今回は、トップスターではなく、本当に歌が上手い専科の役者も舞台に出し、実力者3人で、それぞれの役の感情を歌で表現するのだ。
圧倒的な生のオーケストラと、臨場感溢れる、歌詞の内容で、本当に素晴らしい名場面だった。照明については、舞台上で、光も差さない地下牢を表現するのだが、舞台上に、主役二人がほの暗い照明のみに照らされているところを見た時は、自分も、暗く湿った地下牢へ閉じ込められた気持ちになったものである。素晴らしい舞台は、慣習にとらわれず、実力者を恐れず使うことにより、観客をその舞台のその場所へいざなうものだと実感した舞台であった。
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